回転対称性から角運動量保存則を導出:ネーターの定理をわかりやすく解説

解析力学

前回の記事ではネーターの定理の適用例として「時間並進対称性」がエネルギー保存則を導く過程を解説しました。

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時間並進対称性からエネルギー保存則を導出:ネーターの定理をわかりやすく解説
前回の記事では、ネーターの定理の適用例として「空間並進対称性」が運動量保存則を導く過程を解説しました。前回の記事はこちらです↓↓↓3つの主要な対称性についてざっくり学びたい方はこちらです↓↓↓今回の記事では、適用例の第2弾として「時間の平行…

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今回の記事では、ネーターの定理の適用例の第3弾として、「空間の回転変換」を扱います。

それではやっていきましょう!(^^)!

系が空間的に等方的である場合、系全体を任意の軸の周りに回転させても物理法則を記述するラグランジアンは変化しません。

任意の回転軸に対する微小な回転角 $\delta\theta$ を表すベクトル $\delta\boldsymbol{\theta}$ を導入します。

この回転変換による位置ベクトル $\mathbf{r}_i$ の変分 $\delta\mathbf{r}_i$ は、ベクトルの外積を用いて次のように表されます。

$$\delta\mathbf{r}_i = \delta\boldsymbol{\theta} \times \mathbf{r}_i$$

空間が等方的である系においては、この回転変換によって系のラグランジアン $L$ が変化しないため、以下の不変性の条件が成り立ちます。

$$\delta L = 0$$

第1回の記事で導出したネーターの定理の基本式に基づき、座標変換に伴う保存量を計算します。

保存量に関わる和は $\sum_i \mathbf{p}_i \cdot \delta\mathbf{r}_i$ と表されます。

ここで $\mathbf{p}_i$ は一般化運動量ベクトルです。

この式に回転変換の定義 $\delta\mathbf{r}_i = \delta\boldsymbol{\theta} \times \mathbf{r}_i$ を代入します。

$$\sum_i \mathbf{p}_i \cdot (\delta\boldsymbol{\theta} \times \mathbf{r}_i)$$

ここで、ベクトル解析におけるスカラー三重積の性質 $\mathbf{A} \cdot (\mathbf{B} \times \mathbf{C}) = \mathbf{B} \cdot (\mathbf{C} \times \mathbf{A})$ を利用します。

$\mathbf{A} = \mathbf{p}_i$、$\mathbf{B} = \delta\boldsymbol{\theta}$、$\mathbf{C} = \mathbf{r}_i$ とみなすことで、式を以下のように変形できます。

$$\sum_i \delta\boldsymbol{\theta} \cdot (\mathbf{r}_i \times \mathbf{p}_i)$$

回転軸ベクトル $\delta\boldsymbol{\theta}$ は全ての粒子に対して共通であるため、和記号の外に出すことができます。

$$\delta\boldsymbol{\theta} \cdot \sum_i (\mathbf{r}_i \times \mathbf{p}_i)$$

ラグランジアンが不変($\delta L = 0$)であるとき、ネーターの定理によりこの量が時間に対して一定(保存量)となります。

$\delta\boldsymbol{\theta}$ は任意の微小ベクトルであるため、$\delta\boldsymbol{\theta}$ と内積をとっているベクトルそのものが保存量でなければなりません。

$$\sum_i \mathbf{r}_i \times \mathbf{p}_i = \text{一定}$$

ここで、$\mathbf{r}_i \times \mathbf{p}_i$ は各粒子の角運動量ベクトルです。

したがって、この保存量は系の全角運動量 $\mathbf{L}$ を意味します。

導出された法則を具体的なモデルに適用します。

ポテンシャルエネルギー $V$ が原点からの距離 $r = \vert{}\mathbf{r}\vert{}$ のみに依存する中心力場を設定します。

$$L = \frac{1}{2}mv^2 – V(r)$$

系全体を原点周りに回転させても、各粒子の原点からの距離 $r$ は変化しません。

また、速度ベクトル $\dot{\mathbf{r}}$ の向きは変わりますが、その大きさ(速さ) $v = \vert{}\dot{\mathbf{r}}\vert{}$ は不変です。

したがって、ラグランジアンを構成する運動エネルギーとポテンシャルエネルギーのどちらも回転操作に対して不変であり、$\delta L = 0$ が満たされます。

結果として、ネーターの定理により全角運動量が保存されることが確認できます。

空間の回転に対して物理法則が変わらないという「空間の等方性(回転対称性)」は、系の全角運動量が保存されるという法則を必然的に導きます。

これにて、ネーターの定理における3つの主要な対称性を全て扱い終えました^^;

今回はこれで以上になります。

ではまた(^^)/~~~

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