余因子展開とは?行列式の計算方法である余因子展開のやり方を例題とともにわかりやすく解説

数学

3次以上の大きな正方行列の行列式を計算する際、サラスの方法は4次以上では使えなくなってしまいます。

そこで必須となるのが、行列式のサイズを1つずつ小さくしながら計算を進める「余因子展開(ラプラス展開)」です。

今回は、余因子の定義から、余因子展開の具体的な計算手順、そしてなぜこの方法で計算できるのかという導出の考え方を簡潔に解説していきたいと思います!(^^)!

基本的な行列式やサラスの方法について知りたい方はこちらをご確認ください↓↓↓

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ではやっていきましょう!(^^)!

余因子展開を理解するには、まず「余因子」の定義を知る必要があります。

$n$ 次正方行列 $A$ の $i$ 行目と $j$ 列目を取り除いてできる $(n-1)$ 次正方行列の行列式を、小行列式と呼び、$M_{ij}$ と表します。

この小行列式に、位置によって決まる「符号」を掛け合わせたものが余因子 $\tilde{a}_{ij}$ です。

$$\tilde{a}_{ij} = (-1)^{i+j} M_{ij}$$

【符号の覚え方】

$(-1)^{i+j}$ の部分は、行番号 $i$ と列番号 $j$ を足して、偶数ならプラス、奇数ならマイナスになります。これは以下のように、左上を「$+$」とした市松模様のようになります。

$$\begin{pmatrix} + & – & + & \cdots \\ – & + & – & \cdots \\ + & – & + & \cdots \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots \end{pmatrix}$$

行列 $A$ の行列式 $\vert{}A\vert{}$(または $\det(A)$)は、任意の1つの行、または任意の1つの列を選び、その行(または列)の各成分と、対応する余因子を掛け合わせて足し合わせることで計算できます。

$i$ 行目で展開する場合(行展開):

$$\vert{}A\vert{} = a_{i1}\tilde{a}_{i1} + a_{i2}\tilde{a}_{i2} + \dots + a_{in}\tilde{a}_{in} = \sum_{k=1}^{n} a_{ik}\tilde{a}_{ik}$$

$j$ 列目で展開する場合(列展開):

$$\vert{}A\vert{} = a_{1j}\tilde{a}_{1j} + a_{2j}\tilde{a}_{2j} + \dots + a_{nj}\tilde{a}_{nj} = \sum_{k=1}^{n} a_{kj}\tilde{a}_{kj}$$

どの行、どの列を選んで展開しても、最終的な行列式の値は必ず同じになります。

例題

では実際に3次正方行列の行列式を、余因子展開を使って計算してみましょう!

[問題]

次の行列 $A$ の行列式を求めよ。

$$A = \begin{pmatrix} 2 & -1 & 3 \\ 0 & 4 & -2 \\ 1 & 5 & 0 \end{pmatrix}$$

[解法]

今回は、$0$ が含まれている「1列目」に注目して展開(列展開)してみます。

1列目の成分は $a_{11}=2, a_{21}=0, a_{31}=1$ です。

公式に従って展開します。

$$\vert{}A\vert{} = 2 \cdot \tilde{a}_{11} + 0 \cdot \tilde{a}_{21} + 1 \cdot \tilde{a}_{31}$$

$0$ が掛かっている第2項は計算しなくてよいので、$\tilde{a}_{11}$ と $\tilde{a}_{31}$ の小行列式を計算します。

  • $\tilde{a}_{11}$ の計算(1行目と1列目を隠す):
    符号は $(-1)^{1+1} = +$
    $$\tilde{a}_{11} = (+1) \begin{vmatrix} 4 & -2 \\ 5 & 0 \end{vmatrix} = (4 \cdot 0) – (-2 \cdot 5) = 10$$
  • $\tilde{a}_{31}$ の計算(3行目と1列目を隠す):
    符号は $(-1)^{3+1} = +$
    $$\tilde{a}_{31} = (+1) \begin{vmatrix} -1 & 3 \\ 4 & -2 \end{vmatrix} = (-1 \cdot -2) – (3 \cdot 4) = 2 – 12 = -10$$

これらを元の式に代入します。

$$\vert{}A\vert{} = 2 \cdot (10) + 0 + 1 \cdot (-10) = 20 – 10 = 10$$

よって、行列式は $\vert{}A\vert{} = 10$ と求まりました。

最後に、「なぜ1つの行(列)を取り出して余因子を掛けると行列式になるのか?」という疑問に対する根拠を解説していきたいと思います。

これは、行列式が持つ「多重線形性」という性質に基づいています。

行列式は、ある1つの行(または列)に着目したとき、その行の足し算や定数倍を外に括り出すことができます。

例えば、行列 $A$ の1行目について考えます。1行目のベクトル $(a_{11}, a_{12}, \dots, a_{1n})$ は、基本ベクトル $\mathbf{e}_k$ を使って次のように分解できます。

$$(a_{11}, a_{12}, \dots, a_{1n}) = a_{11}(1, 0, \dots, 0) + a_{12}(0, 1, \dots, 0) + \dots + a_{1n}(0, 0, \dots, 1)$$

行列式の多重線形性を使うと、行列式全体もこの成分ごとに和として分割できます。

$$\vert{}A\vert{} = a_{11} \begin{vmatrix} 1 & 0 & \dots & 0 \\ \vdots & & & \vdots \end{vmatrix} + a_{12} \begin{vmatrix} 0 & 1 & \dots & 0 \\ \vdots & & & \vdots \end{vmatrix} + \dots$$

この分割された各項の行列式部分について、行と列の交代性(行列式には、「隣り合う行(または列)を1回入れ替えると、行列式の値に $-1$ が掛けられる(符号が反転する)」という性質があります。)を利用して $(1, 0, \dots, 0)$ の成分を左上に持っていくと、最終的に $1$ と「残りの小行列式 $M_{1j}$」の積に帰着します。

このとき、行と列を入れ替える回数によって $(-1)^{i+j}$ の符号が発生します。

結果として、各項は $a_{1j} \cdot (-1)^{1+j} M_{1j} = a_{1j} \tilde{a}_{1j}$ となり、これをすべて足し合わせたものが余因子展開の公式そのものになります。

今回のまとめです。

  • 余因子の定義: $\tilde{a}_{ij} = (-1)^{i+j} M_{ij}$ 。
  • 計算の公式: 任意の行または列の成分と、その余因子の積の和が行列式になる。
  • 導出の根拠: 行列式の持つ「多重線形性」と「交代性」から導かれる。

いかがだったでしょうか

余因子展開は逆行列を求める際にも使ったりするので、計算できるようにしておきましょう!

ではまた(^^)/~~~

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